ウィル・ペニー

「ウィル・ペニー」、チャールトン・ヘストン、ジョーン・ハケット、ドナルド・プレザンスほか出演、トム・グリース監督、アメリカ、1967

チャールトン・ヘストンが初老のカウボーイを演じる西部劇。1960年代後半の、アクション中心の西部劇とは逆方向の、ちょっとウェットな方向に振った話。

ヘストンが仲間を牧場を見回っていて、ひょんなことからプレザンスの一家と撃ち合いになる。プレザンス一家の息子は死に、ヘストンの仲間はキズを負う。ヘストンは仲間を医者に診せようと運んでいく途中で、夫を訪ねてカリフォルニアに旅をしているジョーン・ハケットとその息子に出逢い、仲間のキズを手当てしてもらう。

いろいろあって、ヘストンは牧場の小屋を占拠しているジョーン・ハケットに出会い、あえて追い出さずに仕事に出るのだが、そこにプレザンスたちが復讐にやってくる。キズを負わされ、縛られて放り出されたヘストンは、ほかに行くところがないままに小屋に戻り、ジョーン・ハケットの世話になることに。しばらく生活をともにして、情もわいてきたところに、ふたたび襲ってくるプレザンス一家。危うくやられるところに、ヘストンの仲間がキズから回復して戻ってきて、プレザンス一家は全滅。

ジョーン・ハケットと息子は、ヘストンと一緒になることを望むのだが、ヘストンは初老の自分にはカウボーイ以外は務まらないことを知っていて、自ら去っていくという話。

ちょっと「シェーン」に似ているところもあるが、あちらはアラン・ラッドがただカッコイイのに対して、こちらは基本かっこよくない。まあ戦うところでは、ちゃんとやることはやっているのだが、むしろジョーン・ハケットに世話をしてもらうおじさんである。そういう弱みを見せながら、最後は感情を押し殺し、愛情のある生活をあきらめて去っていく。

「弱い」ところをあえて出したまま終わる話は今ではめずらしくないが、まあこの頃はあまりなかったかもしれない。ヘストンは老け役になっているが、「猿の惑星」より前に撮られた映画なので、年齢的にはまったく若い(43歳)。名優はいくつであってもなんでもできたんですね。