BS世界のドキュメンタリー よみがえる第二次世界大戦 3話

BS世界のドキュメンタリー」、「よみがえる第二次世界大戦~カラー化された白黒フィルム~」、第3回「人類の”悪夢”」、NHK総合、2009.12.24

今回は1943年から45年までの部分。最初は、スターリングラードでのドイツ軍の敗北から。パウルスの降伏会見が映っていて感動。

次はユダヤ人殺害。この部分だけ着色されていない。演出上の配慮?それとも政治的な配慮?いずれにしても、白黒フィルムをカラー化するプロジェクトなのだから、この部分が着色されていないのは納得いかない。他の部分は、死体の様子などもすべて着色されているのでなおさらである。

そこからいきなりノルマンディー作戦に飛ぶ。グライダーの群れ。兵士を激励するアイゼンハワー、海岸に殺到する連合軍の舟艇。このあたりはお約束だが、連合軍の物量の威力を見せつけられる。

フランスでのレジスタンス、ドイツ軍の弾圧、パリ解放の部分は相当時間を割いている。フランスとの共同制作だから、まあ仕方ないでしょう。

それから、V-1、V-2の発射シーン。これがカラーで見られてうれしい。ヒトラー暗殺計画については、爆破された部屋の様子と人民裁判の映像がある。シュタウフェンベルクの写真も、隻眼になる前のものがある。

舞台は太平洋に戻り、マリアナ海戦とサイパン島の戦闘。体に火が付いた日本兵がもがいているところ、アメリカ兵が子供(たぶん日本人)を抱き上げているところが生々しい。フィリピンの戦いでは、海上に墜落した日本のパイロットが手榴弾で自決する場面、アメリカ兵が海に落ちた日本兵を撃っている場面がある。

ヤルタ会談は、スターリンの軍服の色が映えている。ドイツ降伏。ベルリン攻防戦の様子に加え、ヒトラーヒトラーユーゲントを閲兵する、生前最後の映像がある。ヒトラーがかなり老け込んでいることがよくわかる。ゲッベルス夫妻の黒こげの遺体と子供らのきれいな遺体の対比が鮮やか。

再度ユダヤ人殺害。アメリカ軍に解放されたブーフェンバルト強制収容所の様子がある。よくわからないのは、この場面は部分的に着色されていること。着色されているのは、解放後の収容所の映像だけ。骨と皮だけになった収容者の姿や、頭部を半分に割った人体標本などが映っている。

それから沖縄戦、原爆投下、ミズーリでの降伏文書調印の映像。広島は焼け跡の様子や、被爆者の火傷跡がはっきり映っている。

50分×3回の映像(初回はミスしたが)は、すべての場面が非常に貴重。膨大な作業にはただ感謝するだけ。NHKの担当者は、おつかれさまでした。