マロース

「マロース」、森上千絵 水津聡 久保隆徳ほか出演、作、演出、倉本聰NHK FMシアター、2009.12.12

作、演出が倉本聰。出演者は、富良野塾の人々らしい。まあ富良野塾も来年度でおしまいだから、その前に精力的にがんばっているのでしょう。

お話だが、鳥インフルで渡り鳥や鶏が大量に殺処分にされる。しかし原因は実は鳥インフルではなく、以前地中処分された化学物質が漏れ出したらしいということがわかってきて・・・。一方、富良野の森の喫茶店に記憶喪失の男が迷い込んでくる。この男、「マロ」は、実は冬将軍=マロースが人間に姿を変えたものだった・・・。というようなもの。

倉本聰の作劇なので、お話の筋立ては上手にできあがっている。役者の演技もちゃんとできている。しかしなんだかなあ、人間の自然破壊という話そのものが絵に描いたように陳腐で、これでどうしろというの?という感じ。最後にマロ=マロースが、「来年からはわたしは来ない、ここは冬のない世界になるだろう・・・」というようなことを言って去っていくのだが、土壌汚染と温暖化を結びつけるって、すごいムリがあるし、そもそも「渡り鳥が来るから冬になる」んじゃなくて、その逆だし。

というわけで、作品のテーマと構成そのものに納得がいかず、すなおに聴いていられない。こういうわかりやすいテーマは、よほど扱いを工夫しないとつまらない話になってしまうと思うのだが。