昼顔

「昼顔」、カトリーヌ・ドヌーヴジャン・ソレルほか出演、ルイス・ブニュエル監督、イタリア=フランス、1967

これはおもしろかった。簡単にいうと「ド変態」、カトリーヌ・ドヌーヴの妄想ショーである。人形のような表情のなさと内面のド変態のギャップに非常に萌える。最初にドヌーヴが娼館をたずねてあっさりお仕事の世界に入っていくところは、あっさりしすぎ!そんなに簡単にからだを売るわけないよっ、と思っていたが、それは逆であり、ドヌーヴの変態としての本性がドヌーヴを娼館に引き寄せているのである。

あと、脇役もみなキャラが立った人ばかり。かっこいい外科医のダンナのジャン・ソレル(まあ最後は悲惨ですが)、娼館の女主人のジュヌヴィエーヴ・パージュ(非常にかっこいい。センスも抜群によい)、ドヌーヴに岡惚れする頭のおかしいチンピラ客のピエール・クレマンティ、「ゲイシャ・カード」でドヌーヴを買おうとする日本人らしきオヤジ(娼館でカード使うか?)に至るまで、一人一人が忘れられない強烈さ。

この映画を見ていると、原律子のマンガを思い出す。もちろん作風は全然違うが、変態同士、強く引きあうものをもっていると思う。えすえむのてきがほんもののキチガイだという指摘も、この映画を見ると味わい深いものがある。

ルイス・ブニュエルらしく、趣味の悪いものは一つも出てこない。この生活感のなさが、変態性をいっそう際だたせていると思う。