二十歳の原点

二十歳の原点」、角ゆり子、地井武男大門正明ほか出演、大森健次郎監督、東京映画、1973

たまたま日本映画専門チャンネルでかかっていたものを見た。DVDソフトには落ちていないらしい。本はいまだに売れているのに・・・。もっともわたしは本は読んでない。

内容は、学生運動がらみで主人公がいろいろ悩む以外は、ごく平凡な話。とはいえ、時代背景(映画では主人公の自殺は1973年となっているが、原作者の自殺は1969年)を考えると、学生運動抜きでは学生生活を考えられない人たちは当時はたくさんいたのだろう。

主人公本人的には、学生運動に関わりたいと思っていて、運動の指導者(大門正明)にあこがれたりしているのだが、直接運動に飛び込むところまで行けない。そこで、一人でもできる抵抗運動ということで、学費不払いを始める。親のところに督促通知が行くので、親はびっくりして娘を詰問するが、娘は親にちゃんと理由の説明をしない。それにしても、学費を払わなかったら、単に年度末に除籍処分になって終わりになるだけ、抵抗もなにもないだろうと思うのだが、そのへんを主人公がどう考えているのかはなぞ。

あとはバイト先の主任(地井武男)に激しくホレてしまい、悶々としているのだが、実際にはバイトの同僚と飲みに行って家に引っ張り込んだあげく、食われてしまうという非常にありきたりな展開。結局主人公は空虚にさいなまれて酒と睡眠薬に溺れ、自殺、という展開なのだが、なんで自殺になってしまうのかがまたよくわからない。軽く鬱状態だったのかもしれないが、観客から見ると特に死ぬ理由は映画の中には見あたらない。

主人公を演じる角ゆり子は、ほかで見たことがないのだが、長い髪がよく似合うきれいな女優。妙にきつい感じがするところがそのころの学生っぽくて、また萌える。