Shall we ダンス?

Shall we ダンス?」、役所広司草刈民代ほか出演、周防正行監督、大映日本テレビ博報堂、日販、1996

ダンスの映画。これはおもしろかった。草刈民代めあてで入ったダンス教室で、いろいろとんでもない目にあいながら、どんどんダンスにのめり込んでいく役所広司が一番いい。あと、脇役で光っているのが、やたら態度はキツイが本当にダンス好きの渡辺えり子、それと好対照で穏やかな人柄でダンスの楽しさに生徒を導いていく草村礼子(年を食った方のダンスの先生)、それから変なかつらで踊りまくる竹中直人である。特に草村礼子のダンスの先生は、こういう人に教えられたら自分でもダンスができるようになるという錯覚を覚えるくらい、よくできた役。

この映画、いくつかの紹介では「ラブコメ」とされているが、ほとんど「ラブ」は皆無に近く、むしろ意識的に恋愛の要素は外されている。だから、ダンスのパートナーが渡辺えり子になってからも、役所は真剣にダンスに打ち込むのだし、最後に草刈民代と踊る場面が最高に輝いて見えるのも、「ただ、ダンスが好き」という無心の境地があるからだ。では、見る側にダンスの楽しさをどうやって見せていくかが映画のみどころということになるのだが、そこは脚本がきちんと書かれているので、テンションを保ったまま、ずっと映画に集中していられる。2時間20分弱、まったく退屈しない。

最後のエンドロールで流れるブラックプールのコンテスト。流れるように踊る出場者の華麗な演技と笑顔がダンスの魅力をアピールして終わり。きれいな終わらせ方で、監督の手腕を感じる。傑作だと思う。