サウスバウンド

「サウスバウンド」、豊川悦司天海祐希ほか出演、森田芳光監督、「サウスバウンド」製作委員会、2007

豊川悦司が元過激派のへんな父親に扮して出てくる。他人を指さして「ナンセンス!」というのが決めぜりふ。まあちょっと笑う。天海祐希はもと過激派仲間なので、夫のへんな行動にもそれなりに理解がある。一方子供は父親の暴走振りを半分迷惑がっている。

天海祐希の「ふつーの人生は送る必要なし」という一言で一家は脈絡なく東京から西表島に移住。金がない、プロレタリアートだといってたわりには、いかに西表島と言ってもよく家が買えるなあと思っていたら、他人の空き家を勝手に占有していたのである。所有者のリゾート業者に立ち退きを要求されるが、あいかわらず「ナンセンス!」で片付けようとする。当然リゾート業者は重機と警察を楯にして強制立ち退き、取り壊しをはかる。トヨエツと天海祐希は落とし穴を使って重機をひっくり返したところまではいいが、もちろんお尋ね者に。最後は、子供をおいて、二人で漁船にのってどこへともなく去っていくのである。いったい子供はどうするの?西表島から漁船で逃げるって、その後どこでどうするつもり?まあやってることはむちゃくちゃである。

これをさわやかととるか、単にむちゃくちゃととるか、見る人次第だが、トヨエツの「ナンセンス!」はおもしろいからいいとしても、はっきりいって単なるキチガイである。まわりの人には単にいい迷惑。沖縄=理想郷みたいな紋切り型のイメージも陳腐だし、すべってる。森田芳光もつまらん映画を撮ってますね。