モーツァルト レクイエム

モーツァルト「死者のためのミサ曲」、イルムガルト・ゼーフリート(ソプラノ)、ゲルトルーデ・ビッツィンガー(アルト)、リヒャルト・ホルム(テノール)、キム・ボイル(バス)、オイゲン・ヨッフム指揮、ウィーン交響楽団ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン・シュテファン大聖堂、1955.12.5

ちょっとおもしろい録音を聴いた。流していたのは、スカパーの衛星ラジオ「スターデジオ」440ch。今週が「オイゲン・ヨッフム特集」なのだった。しぶいなあ。そこでこの演奏を聴いたのだが、これは単なる演奏会の録音やスタジオ録音ではなく、モーツァルト生誕200年記念に、命日の12月5日にウィーンの教会で行われたミサの録音。

なので、最初に鐘が鳴らされるところからはじまり、オルガンが鳴り、ちゃんと司祭がお祈りの文句を唱えている。お祈りが入っているのは、キリエの後、涙の日の後、サンクトゥスの後、ベネディクトゥスの後、そして一番最後(最後のお祈りの後にまたオルガンの演奏が入っている)。普通コンサートで演奏会用の曲としてしか聴かない曲を、本物の典礼の曲として聴くと、全然いつもと違った感じにきこえる。司祭の言葉はわからないけれど(当時のことなので当然全部ラテン語)、お祈りの言葉が心を落ち着かせてくれる。ヨッフムの演奏も、緊張感のある、厳しい演奏。怒りの日のところは特に凄みがある。

自分が横になって聴いているのが申し訳なくなってくる演奏。古い録音だが、音は鮮明。いつか自分もほんとうに典礼で演奏されるところに列席してみたいものだと思う。聴けてほんとうによかった。