チャイナシンドローム

チャイナシンドローム」、ジャック・レモンジェーン・フォンダほか出演、ジェームズ・ブリッジス監督、アメリカ、1979

これははじめて見たが、非常におもしろい。何より脚本の出来がいい。最初に原発の暴走事故から話をはじめて、採算至上主義の会社、手抜き工事、隠蔽工作、口封じの殺人と来て、謎の男達に狙われたジャック・レモン原発の中央制御室に立てこもり、最後はSWATに射殺、とエピソードが息もつかせぬペースで続く。緊張感が切れる場面が全くなし。電力会社-テレビ局幹部-建設会社-謎の暗殺者-警察のつながりを示唆する構成もうまいと思う。

そしてなんと言ってもジャック・レモン。むちゃくちゃ上手い。最初は事故を隠蔽しようとするが、自分で事故の原因を調べはじめ、真相をつかんだところで命を狙われ、結局射殺。このキャラクターを見せきっているところはさすが名優。ラストのジェーン・フォンダの演説も、ジャック・レモンのおかげで生きている。こういう思い切り政治色の強いネタを、きちんと娯楽作として仕上げているところはさすが。日本でも、昔は山本薩夫の映画とかおもしろかったのに(これとはぜんぜん作風が違うけど)。最後に「正義は死せず」みたいなことになるのは、いかにもアメリカっぽいけど、そこがまたいい。