花くらべ狸道中

「花くらべ狸道中」、市川雷蔵勝新太郎ほか出演、田中徳三監督、大映、1961

狸御殿ものと弥次喜多ものを足して二で割ったという感じの映画。雷蔵勝新が共演して狸になり、歌って踊って、というのがまあめずらしいところ。

狸世界の大王を選ぶことになって、阿波徳島党と江戸文福党が選挙で一騎打ちになるが、徳島党の首領が闇討ちにされ、代わりに雷蔵勝新が江戸に下ることに・・・という話。雷蔵勝新以下、登場人物の多くは金髪。狸だから、という設定のためだが、かなり驚く(人間に化けているときは黒髪)。いかにも書き割りという安そうなセットで(基本的にロケは少ない)、バカ話がえんえんと続く。しかしこれがけっこう楽しい。雷蔵勝新ともばんばん歌う。女優とのからみ(基本的に文福党は二人を色仕掛けで釣ろうとする)も多し。二人で歌う豪華デュエットもアリ。勝新太郎は喜劇専業で行っても、きっと大物になっただろうと思う。「不知火検校」の翌年の製作、勝新にはいろんな道が開けていたんだなあと思えば感慨深い。