ノン子36歳(家事手伝い)

「ノン子36歳(家事手伝い)」、坂井真紀、星野源ほか出演、熊切和嘉監督、ノン子36歳フィルムパートナーズ、2008

坂井真紀の役は、田舎から東京に出て役者をやっていたが目が出ないまま戻ってきて、実家に寄食している「36歳(家事手伝い)」。父親からは邪険にされ、実家の神社を継ぐ妹からは「終わってる」と言われている。実際、坂井真紀は「人生半ばでほとんど終わってる人」をかなり忠実に再現している。元夫の鶴見辰吾が訪ねてきて、うまくいいくるめられてヤラレちゃったり、元同級生の新田恵利がやっているスナックで毎夜飲んだくれて、あげくに飲み代をチャラにしようとしている。

まあそんなところに、神社の縁日にひよこ売りの露店を出して一発稼ごうとしている若い兄ちゃん(星野源)が現れて、ちょっと坂井真紀の生活に変化が…という話。それで坂井真紀の人生がほんとに変わるのかといえば、なんとなく変わったような変わらないような微妙な終わり方にしているところがよい。ロケ地は、背景に映り込んでいるものから埼玉の寄居町だとわかる。田舎の神社でいきなり星野源がキレて暴れまわったり、坂井真紀が星野源を誘ってやっちゃったりしている場面は、熊切和嘉っぽくてよい。

後味はけっこうさわやかで、こんな話がちょっといい話になっちゃっていいのかなと思うが。