空軍大戦略

「空軍大戦略」、ローレンス・オリヴィエトレヴァー・ハワードほか出演、ガイ・ハミルトン監督、イギリス、1969

こっちはヒコーキ映画。確か高校生の頃に一度見たきりである。とにかくヒコーキが山ほど出てきて所狭しと空を飛び回る。しかも、こちらはスピットファイア、ハリケーンメッサーシュミットMe109、ハインケルHe111はみな「本物」である。ストーリーといっても、空戦の経緯を淡々と追いかけているだけで、とにかくヒコーキが主役。ぼーっとしてヒコーキを眺めているだけでどんどん時間がすぎていく。スペインが古いドイツ機をいっぱい稼働状態で持っていてくれてほんとうによかった。スピットとハリケーンをちゃんと保存していたイギリスもエライ。

原題「バトル・オブ・ブリテン」のとおり。主役はイギリス空軍なので、役者はイギリスの方がカッコイイ。ローレンス・オリヴィエとかトレヴァー・ハワードとか、顔そのもので画面を引き締めている。しかし、前半はドイツ側の方が圧倒的にカッコイイのである。特別列車でゲーリングが到着するところとか、もううっとりする。ドイツ側の台詞が全部ドイツ語であるところもいい。ヒトラーは遠景か背景でしか映らない(チャーチルも遠景ショット)が、これが効果的。演説の場面などいかにもそれっぽい。ゲーリングの役者はあまり似てないが・・・。

ヒコーキ同士の空中戦は離れて撮っていると美しい(最後の大激突のところは音楽だけで効果音もなし)が、中の描写は容赦がない。特にイギリス機に撃ちまくられるハインケルは機体はボロボロ、機内は血の海で乗員は皆殺し。地上で破壊される機は模型でも、空中から墜落してくる場面は実機を壊しているのだろうか。このあたりの迫力もこのころの空戦映画ならではのよさ。

最後は参加した乗員と戦死した乗員の数字が両軍ともスーパーで映って終わり。音楽がまたカッコイイ。昔の戦争映画はこんなにおもしろいのに、なぜ最近の戦争映画がつまらなくなっているのか。せっかくVFXで何でもできるのに、悲しくなってくる。