華岡青洲の妻

華岡青洲の妻」、市川雷蔵 若尾文子 高峰秀子ほか出演、増村保造監督、大映、1967

市川雷蔵が青洲、若尾文子が妻の加恵、高峰秀子が母の於継を演じた1967年の映画版。市川雷蔵は、いろんな青洲役の中でも一番ストイックでひたすら医術、医術という感じ。若尾文子高峰秀子はどっちもきつい性格という感じ。2005年のNHKテレビ版の和久井映見田中好子の抑えた感じのきつさもよいと思っていたが、小説に近いのはむしろこっちのほうだろう。

増村保造の演出だけあって、非常に陰影のはっきりした画面。モノクロだが、菜の花畑の場面など見えないはずの色が見えてくるような感じすらする。乳がんの手術の場面はさすがに「そんなに大きく腫れあがってたら、もうダメなんじゃないの」という気はしたが・・・。長い原作を切るところはすぱっと切って、医術の厳しさを強調する新藤兼人の脚本もさえている。最後はきちんと余裕を残して終わり。佳作といえる。