父の帰宅

「父の帰宅」NHK FMシアター、西尾まり主演、藤野千夜原作、小松與志子脚色、川野秀昭演出、2007.12.1

8年前に死んだ父がいきなり実家に帰ってきたという電話。ともえが実家に戻ると本当に父がいて、華族といっしょにごはんを食べたり、父の仏壇にいっしょに手を合わせたり、父のお墓にいっしょにお参りにいったりする。ともえはなんとなく落ち着かないながら、そういう「現実」を受け入れていくが、そのなかで夫の浮気、父との思い出、いろんなことが頭の中にめぐっていく。
人の死をこういう形で思い返すことで、生がちょっと変わった形で見えてくる。「人間生きているといろいろあるわね」という最後の台詞が胸にしむ。藤野千夜は読んだことないけど、今度読もう。筋立てがしっかりしていて、脚本もよくできている。西尾まりをはじめ役者もうまい。ひさびさにFMシアターを聴いたけど、当たりの日に聴けてよかった。