愛人/ラマン

愛人/ラマン」、ジェーン・マーチ、レオン・カーフェイ主演、ジャン・ジャック・アノー監督、フランス、イギリス、1992

もはや恋愛映画というよりはロリにとっての究極のおかずにされてしまっているこの映画。デュラスの原作は未読。しかしさすが名作の評価に値する作品だということはよくわかった。ジェーン・マーチは妖精にしてこのエロさ、それに加えて氷のようなツンツンぶりに気位の高さ、まさしくニンフェットが天から降りてきたような女優だ。レオン・カーフェイの威厳と手練手管が四つに組んださまは付け入る隙なし。
ひとつひとつの場面、車の後部座席でレオンがジェーンに手を重ねるところ、街路に面した部屋の地面での情事、華僑の富豪の豪華な結婚式、フランスに帰る船から見えるレオンの黒い車、みな心にこびりついて忘れられない。メコン川の濁った流れの色やインドシナの湿った空気、チョロンの猥雑な街並みも画面から匂いがするかのようだ。映画のついでにメイキング・フィルムもやっていたので見てしまったが、経済発展以前のベトナムでこの映画が撮られたということが奇跡のようだ。必ずサイゴンに一度はいってみなければと強く思う。