スケアクロウ

スケアクロウ」、アル・パチーノジーン・ハックマン主演、ジェリー・シャッツバーグ監督、アメリカ、1973

アル・パチーノジーン・ハックマンがどうしようもない雰囲気をかもしだしている。ジーン・ハックマンはこのころからこんなにやさぐれていたのか。この救いようのないダメダメさが見ている側をつかまえて離さないところが、この映画のエライところだと思う。
特に好きなのは刑務所にまた放り込まれて口をきかないジーン・ハックマンが、アルのことで牢名主をなぐりつける場面、アル・パチーノが放置していた妻に電話している場面(この元妻役の女優は非常にいい)は酷い言葉を次々と投げつけられてボロボロになっていくアルの表情がなんともいえない。その後精神を病んで病院にかつぎこまれるアルにひたすらとりすがるジーンと、文無しの状態でピッツバーグへの切符を買おうとして「往復?」と聞かれ、最後に隠してあった10ドル札を取り出して、戻ってくるあてもないのに往復切符を買うジーンが泣かせる。
ちょっと「真夜中のカーボーイ」を思い出す。これらに比べるとこのごろの映画に出てくるダメ人間はみなヌルさの極み。