ブロークバック・マウンテン

ブロークバック・マウンテンアン・リー監督、ヒール・レジャー、ジェイク・グレンホール主演、2005

今年のアカデミー監督賞ほかいろいろ賞をもらっている。ゲイの恋愛ものということでちょっとどうしようかとおもっていたが、見てみることにした。監督はアン・リー。つまり「グリーン・デスティニー」の人。グリーン・デスティニーの印象からいろいろ想像していたが、見てみると同じ人が撮ったとは思えない。

寡黙なほうのゲイ、イニスを演じているヒール・レジャーがとてもいい。ロデオをやり、それが縁で金持ちの娘と結婚して豊かになるジャック(ジェイク・グレンホール)に比べ、町を出たこともなく、黙々ときつい牧場の仕事をやりつづけ、あげくに愛情のない生活に愛想をつかされて妻にも離婚される。しかもその後もジャックの求愛にきちんと応えられないまま、ダメダメな人生を送り、あげくジャックは他の男に走って命を落とし、ジャックの実家を弔問に訪れるのだが両親は息子がゲイだということと、イニスがその相手だということを見抜いている。

話は淡々と運び、人によっては物足りないと思うかもしれない。実際、自分がとっているメルマガの映画評では、この恋愛を「単なる痴話喧嘩」と片付けている。でも、この映画のいいところは恋愛に妙な深みを持たせようとする味付けをしていないところじゃないのか。どこにでもころがっているような色恋沙汰が予想通りに悲劇に終わる。そのことをイニスが黙々と受け入れていくところにこのお話のいいところがある。この1年で見た新作映画の中では自分は一番好き。