バリー・リンドン

バリー・リンドン」、ライアン・オニール、マリア・ベレンソン主演、スタンリー・キューブリック監督、アメリカ、1975

この映画は二度目だが、最初に見たのはいつだったかほとんど思い出せない。キューブリックの映画だということはわかって見たので、大学以後だと思うのだが。アイルランドの田舎紳士の身分から戦争でヨーロッパへ渡り、スパイやイカサマ賭博をしながら貴族の未亡人と結婚し、貴族の身分を得ようとするが結局没落し、悲惨な境遇をたどる男バリー・リンドンのお話。昔見たときの場面で覚えているのは七年戦争の場面だけだったが、改めて見てみると映画全部が大掛かりな絵巻物のようなもの。お話はそんなにおもしろいものではない。バリーの子供が死ぬところとか、あらかじめナレーションで全部内容を話してるし。キューブリックもたぶんストーリーをドラマチックに見せることにはそれほど関心はなかったのかもしれない。それより18世紀はこういうものだったのだということをいかに忠実に画面上に描き出すかということが主題の映画。美術や衣装、音楽のひとつひとつがみな細かく配慮されている。