性の用語集

井上章一&関西性欲研究会『性の用語集』、講談社現代新書、2006

セックスに関するいろいろな言葉の用例の歴史を調べた本。「性」といえばセックスを連想するのは日本語圏ではじまったことで、それが20世紀になってから他の漢字使用圏にも拡大していったのだという。フーゾク/風俗、ニューハーフ、不能といったものから、娘子軍、女衒、赤線といったほぼ死語になった言葉までいろいろ取り上げられていて、読んでいてたのしい。あとがきにもあるが、セックスに関する言葉、俗語の類は国語辞典にのらないことが多いので、国語辞典の過去の版を調べることで用例の歴史を調べるという通常の方法が使えないことが多い。そうなると大宅壮一文庫の記事目録ということになるが、雑誌にも出ることが少ない言葉の場合はそれもむずかしい。そういう制約でよくいろいろ調べたものだと思う。学者でない人も執筆者に加わっていて、「自分の経験からするとアナルセックスは一晩に三回が限度」という話は非常に参考になった・・・。あと、「秘宝館」について、伊勢の「国際秘宝館」が現在は「元祖国際秘宝館」と名乗っていること、しかし「秘宝館」の第一号は徳島にあること、はちょっと感慨深かった。