話せぬ若手と聞けない上司

山本直人『話せぬ若手と聞けない上司』、新潮新書、2005

人材開発、というか企業内コミュニケーションで「若手」「新人」にどう接していけばいいかという本。いつもはこういう本は読まないのだが、なぜ買ったかというと著者が個人的に知っている人だから。しかし読んでみて、買う価値はあった。「若手」と「上司」「先輩」のコミュニケーションギャップはどこでもそれほど違っていないということを痛感する。それを指摘するだけならどうということはないのだが、この本では、個々の事例において著者がどういう形で若手に向き合ったかという積み上げで書かれているので、一行一行に説得力がある。そして、そういう事例を通じて、世代論、日本社会論を全体として描き出す構成になっている。著者は広告代理店を辞めて人材開発の分野で独立した人だが、なぜ彼が会社を辞めて起業したかがなんとなくわかる。人材開発はそれほどむずかしく、また彼にとって魅力のある仕事なのだと思う。知り合いがこういう元気な仕事をしていることを知って、なんとなくうれしい。