松村劭『三千年の海戦史』、
中央公論新社、2006
古代ギリシャから現代に至る三千年の海戦史を概観し、そこから海洋戦略について考えようという本。意図はたいへん野心的。しかしそれが成功しているかということになると・・・。著者は個々の戦史を細かく描くことを目的としているわけではないので、そこが薄いのはそれほど問題ではない。しかし、「海洋国家」の説明がイギリスに偏っているのはどうか。
アメリカやローマの海洋国家としての性格について十分な説明がないのは弱い。また
覇権国家と海洋国家の関係について考察が足りないところも弱い。著者の視点がもうちょっと広がればいろいろな論点が出てくるように思うが。