火宅の人(映画)

「火宅の人」緒形拳いしだあゆみ原田美枝子ほか出演、深作欣二監督、東映、1986


昔見たが、また見るとさらに味わい深い映画。むちゃくちゃな張本人は、緒形拳だが、緒形拳にはあまり決断力がなく、いしだあゆみ原田美枝子の間をフラフラして、思い切り振り回されている。というか、緒形拳がどっちつかずなので、いしだあゆみ原田美枝子はいい加減に疲れていて、その不満を緒形拳に対して爆発させている。

やはり怖いのは、いしだあゆみ原田美枝子だが、特にいしだあゆみ。宗教にはまったり、緒形拳が持ってきたブリに包丁を突き刺したり、表情が般若の面のようなことになっている。原田美枝子も、怒りのタメがすごく、家にじゃんじゃん男を引っ張り込んで、緒形拳を振り回そうと必死。まあ、必死対必死の対決だが。

最後に緒形拳原田美枝子から引き剥がすのは、息子の死。緒形拳が、原田美枝子の家にいる時に、病院のいしだあゆみから電話がかかってくるので、これはキツい。いろんな意味でホラー映画。撮影している深作欣二そのものがこのめちゃくちゃな世界の住人だったから、よくわかっているはず。檀ふみは、原作を大人になるまで読めなかったといっているが、当然のこと。