昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ

「昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ」、蓬莱竜太作、演出、アステールプラザ多目的スタジオ、2018.2.22


これは、「演劇引力廣島」というアステールプラザで演劇を上演するプログラムの今年度のもの。蓬莱竜太が、最近3年、このプログラムを仕切っていて、これが最後の年度。一昨年が旧作の改版、昨年が広島の作家との共同脚本、今年が書き下ろし。

一昨年もおもしろかったが、今年の作品が非常におもしろい。キャストは27人。中学校のクラスの話。一つだけのエピソードが回るのではなく、27人がいくつかのグループに分かれて、それぞれのエピソードが回るという形式。全部を一度で理解するのは無理で、数回見ないとわからないだろう。

それぞれのエピソードの切り方は短く、展開がめまぐるしい。昨日あまり寝ていなかったので、途中相当寝ていたが、まあしかたがない。それでもけっこうおもしろかった。教師2人と生徒の三角関係の下りとか、かなり笑えた。

中核になっているエピソードは、広島弁の女の子(広島弁を話すのは一人だけなので目立つ)が、在日韓国人の女の子の双子の妹で、姉の方はスナックに出て客の相手をさせられているという話。韓国人の姉がかわいそうなので、鼻をすすり上げている客もいた。そこまでとも思わないが、貧乏にめげずにやっていこうとする子は目立つ。

ちょっとだけダンスがあったりするが、それなしでも、非常に空間をうまくつかっていて、そんなに広くない舞台を非常に広く見せていた。休憩10分で2時間40分ほどあって、やや長過ぎるが、かなりたのしめた。これは作家の力量。この人の新作がこの夏に新国立劇場で上演されるので、それはぜひ行きたい。