11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち

11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」、井浦新満島真之介ほか出演、若松孝二監督、若松プロ、スコーレ、2012


三島由紀夫事件の映画。三島が自衛隊で軍事訓練を受けるようになってから、事件までを描いている。

三島の内心をわざわざ描写するようなところはほとんどなく、ほとんどが三島の行動の描写にあてられている。また三島由紀夫だけでなく、森田必勝(満島真之介)ら、楯の会、「日本学生同盟」関係者にも相当の力点がおかれている。こっちも、学生運動なのだ。

ハイライトは三島事件そのものだが、三島の演説は、あえてコメディーっぽく見えるようにしてある(当然演じている井浦新は真剣だが)。三島の声はちゃんと聞こえるが、自衛隊員のわめき声が大きくて、演説になりきれない。

真剣な場面は、当然ながら三島と森田の自決。ここでの井浦と満島は相当気合の入った芝居。刀が体に突き刺さっているところは映らないが、血まみれの場面は強烈。カットバックで桜が散っているところが映っているが、三島事件は11月25日だから、まあ象徴的なもの。紅葉もちょっと映る。

あまり、濃く描いていないのがいいと思う。長過ぎることもない。