うっかり鉄道

能町みね子『おんなふたり、ローカル線めぐり旅 うっかり鉄道』メディアファクトリー、2010


この本を読むまでは能町みね子が鉄道ファンだとは知らなかった。鉄ヲタというのとはちょっと違うが、十分鉄だ。この本で回っているのは、鶴見線京葉線江ノ島電鉄岳南鉄道土佐電気鉄道肥薩線ゆいレール鹿島鉄道、宗谷本線、留萠本線ほか。

基本的に能町みね子は、レトロ調ではない、実際の古さ、駅、鉄道の周辺地域、他の乗客といったものが好き。肥薩線嘉例川駅から鹿児島空港まで歩いたり、土讃線薊野駅から沢田マンションまで歩いたり、ちゃんと押さえるべきものは押さえている。

特に鶴見線国道駅に行って、ちゃんとここの構内にある焼き鳥屋「国道下」に行っていることがポイント高い。駅の構内にあるお店の図も出ているし、残念ながら店で飲んではいないのだが、テイクアウトの焼き鳥は50円だって。吉田類の酒場放浪記で実際に行っていたのは見たが、やはり自分が行かないといけないわ。

飯田線秘境駅号にも乗っている。他の乗客は鉄オタではなく、ほとんどツアーに来そうな年配のご夫婦だけらしく、本物の鉄オタはむしろ秘境駅号の方がめずらしいので、それを駅から撮影している。

能町みね子に同行している編集者のイノキンさんもいい味を出している。鉄道好きはやはり引き合うのだ。