五十嵐伝

蓬莱竜太作、演出「五十嵐伝 ─五十嵐ハ燃エテイルカ─2016広島版」、2016.2.21、アステールプラザ


最近めったに行かない舞台を広島で見に行ってきた。結果からすると、これはよかった。

「演劇引力廣島」という地元の人と、よその人の混成ユニットで芝居をつくるプロダクション。蓬莱竜太の芝居は見たことがなく、この芝居が『ガチ☆ボーイ』という映画になっていることも全然知らなかった。

話は、学生プロレス。五十嵐という二回生がプロレス同好会に入ってくるが、この男、自転車事故で頭を打っていて、新しいことが覚えられない。従ってプロレスの段取りが覚えられない。いつもガチで試合をしなければならない。これが客に受けるのだが、いつまでもそんなことが続くはずはなく・・・というもの。

プロレス同好会の部長役の人が声が出ていて、圧倒的に迫力あった。この役の人は島根で芝居をやっているというが、そんなところで芝居できるのか。五十嵐役は、22歳の人がやっている。同好会のマネージャーとか、女レスラーとか、卵仮面とか、いい役者がいて、ちょっと感動。

あと、よかったのは舞台美術。同好会の部室だけで話が進行するのだが、この部室がとてもよくできている。予算がたくさんあるとは思えない(5公演しかない)のに、これだけのものができるのだ。

この日は千秋楽だったので、公演後にトークがあった。劇場で、このトークの内容についてはSNSなどに書くなと言われたので、内容は書かないが、これもかなりおもしろかった。

外から来るものはともかく、広島の地元中心で芝居は無理でしょうと思っていたが、そうでもないということはわかった。チケットは売り切れ。出演者に有名人がいないことを考えると、いくら狭いアステールの多目的ホールだといっても、驚異的に客が入っているといえる。作家の蓬莱氏は来年もここで芝居をやると言っているのでありがたい。映画もソフトを探してみる。