十戒

十戒」、チャールトン・ヘストンユル・ブリンナーほか出演、セシル・B・デミル監督、アメリカ、1956


また見てしまった映画。映画自体は昔のままだが、2010年に6Kデジタルリマスター化されている。こっちは標準画質で見ているので、その分の恩恵は薄いが、やっぱり画面はきれい。

ヘストン大先生のエジプトの王子時代と、神の召命に預かってから後の対比がかっこいい。ユル・ブリンナーに「服せ!」と命令したり、「偶像崇拝者ども!・・・律法によって生きぬ者は、律法によって死すべし!」と律法の彫り込まれた石板をぶん投げる(その後、石板は再び神が下さっている)ところなど、本当に神がかりになっていてすばらしい。

ユル・ブリンナーはヘストン大先生に対抗できる大役者。傲然たるところだけでなく、悩んだり苦しんだりしているところもかっこいいし、軍隊を全滅させられて戻ってきてから、「彼の神こそ神であった」とつぶやいているところもよし。

それから、アン・バクスター。愛情も妬みも憎しみも深く、女の業の深さ全開の人。顔の派手さだけでなく、おかっぱの髪型やえらそうな態度もいい。キャストは全部キャラ立ちした人ばかりで、悪者のデーサン(エドワード・G・ロビンソン)は本当に憎々しい。この人は、「ソイレント・グリーン」で、ヘストン大先生とまた共演してるのだ。

今回特によかったのは、モーセが山に行って十戒をいただいている間に金色の子牛をつくって偶像崇拝に走る民の狂乱ぶり。裸になっている人はいないのだが、みだらというのはこういうことだろうと思わせる場面。人間の欲望を解放するのは、酒、踊り、大騒ぎ。モーセに代わって民を説教している人などいない。預言者のいない民なんていつもいいかげんなのだ。

本編223分だが、退屈はしない。最初に見たのはリアル厨房の時だったが、目が飛び出るくらい画面に張り付いていた。