ニュルンベルクのマイスタージンガー MET

ニュルンベルクのマイスタージンガー」、

ミヒャエル・フォレ(ザックス)
アネッテ・ダッシュ(エファ)
ヨハネス・マルティン・クレンツレ(ベックメッサー

オットー・シェンク演出、ジェームズ・レヴァイン指揮、メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱団、METライブビューイング


METライブビューイングの今季のワーグナー作品はこれだけ。なんとしても行かねばと思って行ってきたが、出来はすばらしい。

歌手は、すべてフルパワーでやっており、表現力、見た目、いずれもすばらしい。特にザックス役のミヒャエル・フォレと、ワルター役のヨハン・ボータは文句をつけるところなし。

演出は、シェンクなので、最近よくある「現代風の見立て」はなし。それがいい。以前、バイロイトのプロダクションの映像を見た時に、ザックスがあからさまにナチスになぞらえてあって、客は思い切りブーイングしていた。そんなマイスタージンガーは見たくないわ。

ちゃんと中世っぽい靴屋と、それを取り巻く人々のようになっている。ザックスは、人間的な深みが出ていて、ミヒャエル・フォレの卓越した力を感じるし、「ドイツの芸術は世界一!」をすなおに表現していて、変なひねりはない。

弱ったのは、とにかく長いこと。そういう作品だから仕方ないが、休憩とインタビューが間に1時間くらい入っているとはいえ、全部で5時間40分くらいのプログラム。はっきりいって、全部起きているのはむりだった。劇場に行っていて途中で寝たら泣いているはずだから、このMETライブビューイングで見られてまだまし。それでもこの作品だけは5000円した。

今後本物を劇場で見られるかどうかわからないのだから、この値段でも安いと思うべきだが、こんなに長くなくていいでしょ。特に第3幕。いちいちザックスの前に登場人物が出てきていろいろしゃべらなくてもいいわ。最後はひたすらかっこいいのだから、それでもいいが。

レヴァイン、オーケストラ、合唱団の出来は非常にいい。ソフト化してくれるといいのにな。