決定版!SF映画年代記 2

「決定版!SF映画年代記」2、「異星人との遭遇」


BBCのドキュメンタリー2回目。今回のテーマは、「地球侵略」。

最初は当然、ウェルズ「宇宙戦争」(小説)。ウェルズは、イギリスの植民地支配から小説のアイディアを得ていて、この「異星人の地球侵略」というテーマ自体が、その時代の不安感を反映しているというもっともな話が最初に提示される。次に、オーソン・ウェルズによる、ラジオドラマ版「宇宙戦争」。次に映画版「宇宙戦争」(1953)。これは大人になってから見た作品だが、なつかしい。

「インディペンデンス・デイ」は、これまでの異星人の宇宙船は小さすぎという発想。これもウェルズ「宇宙戦争」へのオマージュ。侵略ものの元祖が、「宇宙戦争」なのだから、みんな発想は同じ。

ドクター・フー ダーレクの地球侵略」の宇宙人は可愛い。日本の特撮もかなりこのキャラをパクっている。「ドクター・フー」(TVリメイク)も、デザインはそっくり同じ。サイバーマンのデザインははにわみたい。人間を改造して、自分たちの複製を作るというアイディアも、日本で流用されまくっている。

「影が行く」(小説)の映画化作品が、「遊星よりの物体X」、リメイク版が「遊星からの物体X」。これはジョン・カーペンター自身が解説する。

「盗まれた街」(小説)の映画化が、「ボディ・スナッチャー 恐怖の街」。You have no choice.というのは、この前見た映画版にもあったが、最初の映画版から受け継いでいるセリフ。

Xファイル 三角フラスコ」は、このシリーズをほとんど見ていなかったが、「宇宙人の存在は政府が隠している」というネタ。

「原子怪獣現わる」(1953)は、核実験が生んだ怪物もの。だいたい、怪獣は科学の悪用か、放射能のおかげだったらしい。

ゴジラ」は、ここで出てくる。これは予告編が映っている(英語字幕つき)。やっぱり欧米人もコワイと思ってたのだ。

ジュラシック・パーク」は、恐竜の造形を担当したフィル・ティペットが登場して解説。怪獣と地球侵略ものは、基本的に同じものという考え方。

そこで異色なのは、「未知との遭遇」。リチャード・ドレイファスが登場。

次は姉妹編みたいな「E.T.」。これも見てないわ。E.T.は12人がかりで操作したという。子役の子は、E.T.が本物だと信じていた。

メン・イン・ブラック」は、これも侵略ではない宇宙人もの。これは、不法移民取り締まりを異星人とくっつけたもの。

第9地区」は、難民問題、アパルトヘイトと異星人のコラボ。

第1回に比べて、作品ごとに「文脈」を明らかにしようとするパートが増えた。同じモチーフでしつこく作品を作っているのだから、当然か。それにしても、日本の特撮ものは、アイディアだけでなく、造形も欧米SF映画をそのままパクっていることがよくわかった。