親鸞(1960 映画版)

親鸞」、中村錦之助中村嘉葎雄ほか出演、田坂具隆監督、東映、1960


この映画、いったい何なのか?原作吉川英治とあったので、イヤな予感がしていたのだが、2時間半の尺なのに、法然は出てこないわ、念仏もしないわ、親鸞がしていることは、女犯のことで悩んでいるだけである。

まず親鸞には弟(中村嘉葎雄)が、いることになっている。まあ親鸞の若い頃のことなど何もわかっていないし、吉川英治が適当なことを書いていたと思えば、別に問題にするようなことではないが…。

その弟がしていることといえば、女に惚れて、女を連れて京に行こうとしたところを、盗賊の岡田英次に襲われて女をさらわれるというだけ。親鸞は、弟と女を守ろうとするが、盗賊に縛られておわり。普通切られてるでしょ。盗賊も子分も刀を持っているし。岡田英次、いい人だ。

親鸞の師匠は、青蓮院の慈円僧正(大河内伝次郎)。その兄が九条(月輪)兼実(千田是也)。慈円が歌会で恋の歌を詠んだからというので、朝議で慈円に罰を与えよという話が出た。そこになぜか師匠の弁明に出てくるのが親鸞。帝の御前で、師匠をかばって、帝に「慈円はよい弟子をもった」とほめられ、衣を賜って少僧都にしてもらう。調子よすぎでしょ。

しかし相変わらず悩んでいる親鸞。そして、親鸞九条兼実の姫に惚れてしまうのでした。兼実の姫も積極的に親鸞に言い寄ってきて、どうするのよ。結局姫のところに通ってしまい、あまりの罪深さにおののく親鸞。叡山に戻ろうとするところ待ち伏せていた姫に捕まってしまう。なさけなし。

そこになぜか襲ってくる岡田英次親鸞はあわてて引っ返してきて、岡田英次をさんざん杖で打ちのめす。親鸞は、仏の名を呼びながら走って行くのだった。


なんとここで話は終わり。なんちゅう中途半端な映画。最後に仏にすがる錦之助の演技のみかっこいい。こんなものを2時間半も見るんじゃなかった。