銀河英雄伝説@TAKARAZUKA

銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」、凰稀かなめ、実咲凛音ほか出演、2012年宙組東京宝塚劇場


宝塚の銀河英雄伝説、いったいどんなものかと思って見てみた。だいたい予想通りで、これは銀英伝をむりやりベルばらっぽくアレンジしたもの。あの長い長い話を、舞台化しようという(それもミュージカルで)ことになると、主要な場面を切り貼りして、音楽をつける以外にやりようがない。

戦闘シーンはどうするのかと思ったら、後ろのスクリーンに映像(だいたいアニメ版みたいな感じ)を映して、役者が舞台で踊るというもの。これはまあ、しかたがない。

衣装は、およそ軍服っぽくなく、まさに宝塚。軍服というよりはホストの服みたいだ。帝国軍はそれでもなんとかそれっぽくなっているが、同盟軍は、キンキラキンで勲章がたくさんついていて、明らかに変。帝国だけ金ピカで、同盟が地味すぎなのでは困るから、こういうことになっているのだろうが、これでは質素を旨とする同盟には似合わない。

肝心のストーリーだが、キルヒアイスが死に、リヒテンラーデ公が逮捕され、アンネローゼが隠遁するところまで。ラインハルトが立ち直って、決意表明をして、おしまい。フェザーンはまったく出てこない。この時点では出番のない、ヒルダやユリアンは登場。終わりの10分あまりは、歌とダンスがこれでもかと続く。

客はたぶん原作やアニメには触れていない人がほとんどだろうから、ほとんど訳が分からなかったのではないだろうか。ここまででも、登場人物は多すぎるし、エピソードも詰め込みすぎなのだ。ラインハルトはともかく、ヤンは出番少なすぎで、あまりライバルっぽく見えない。

この内容でも、ファンにとっては主役の歌と踊りで、それなりに楽しめるのだろう。かなり役者に入れ込んでいないとちょっと見るのはつらい。しかも生で見ていればともかく、テレビ越しだ。やはり劇場に直接行かないと、この劇団のファンにはなれないかもしれない。

この録画は千秋楽のものなので、最後に退団者のあいさつと、凰稀かなめのあいさつが入っている。ファンにとってはこれがいいわけね。緞帳が降りても、またまた凰稀かなめが出てきて、ニコニコごあいさつ。まあ演目はなんでもいいらしい。