竹内正実テルミンライブ in 広島

竹内正実テルミンライブ in 広島」、ヲルガン座、2010.3.6

テルミンのライブに行ってきた。テレビで演奏場面を見たことはあるのだが(記憶はないのだが、その時の出演者もたぶん、この同じ人)、生で聴くのは初めて。

30人ちょっとくらいしか入らない小さなスペースでの演奏。四畳半くらいのステージがあって、竹内氏と、濱口晶生という女性のテルミン奏者、高柳理恵という女性のピアノ奏者の3人でのアンサンブル。曲はほとんどが「愛の賛歌」みたいなポップスのよく知られた曲。1曲だけ、自作のテルミン用にかかれた曲を演奏していた。

どうだったかというと、非常に微妙。まずいいところから言えば、この楽器のしくみや奏法を簡単に説明してくれ、初めての人にも入りやすいライブだったし、この竹内正実氏のキャラクターがなんともいえずよい味を出している。ライブとしては満足。2000円+ワンドリンクで、1時間半ほど楽しめたから、お得感も強し。会場の「ヲルガン座」というスペースも渋い。大通りに面しているが、お店が密集しているところではなく、目立つ看板もないのでうっかりしているとわからない。しかし、内装、雰囲気はおもしろい。

ここまではいいのだが、問題は、音程がぴたっと決まっていない箇所がけっこうあったということ。この楽器自体の問題にもなってくるのだが、非常に正確な動作をしないと同じ音が出ない。また手や体の位置がちゃんと静止していないと音が揺れてしまう(これが一番むずかしいと言っていた)。最初の2曲くらいは、音程がずれているところが聞き逃せないくらいあり、かなりフラストレーションが。そのうちよくなってきたのだが、それでもピアノがなくてテルミンだけだと、演奏は大変だと思う。

竹内氏は、「シンセサイザーは演奏者の手間を簡単にするようにつくられているが、テルミンは逆の方向性にあるところがおもしろい」と言っていた。演奏する側としてはそうなのだろうが、聴く方はシンセサイザーで正確に複雑に演奏できるのだったら、テルミンでしかできないことって何?と思ってしまうのである。

マトリョミン」というマトリョーシカの人形にテルミンの仕掛けを内蔵した、簡易テルミンがあるのだが、これはこの人が自分で会社を作って、そこで製造して売っているということをはじめて知った。客の数名は、これを持参していて、みんなで合奏していた(この演奏はきれいに合っていた)。

いろんなところにいろんなことをしている人がいるなー、ということがわかったという点ではおもしろかった。しかしこの竹内氏、ロシアに93年にわたって以来、ずっとテルミン演奏をしているのだという。そのくらい演奏していて、これだけ音程が揺れるというのは、それほど難しいということか。「のだめカンタービレ」映画版の後編で、テルミンが出てくる場面があり、その場面の演奏吹き替えと技術指導をしているとのこと。機会があったら、見てみよう。