ガス人間第一号

ガス人間第一号」、三橋達也八千草薫、土屋嘉男ほか出演、本多猪四郎監督、東宝、1960

二ヶ月前にまとめてやっていた東宝変身人間もの、やっとこれを見られた。あとは「マタンゴ」だけ。

きちがい博士(村上冬樹)の実験でガス人間にされてしまった、図書館のさえない司書の土屋嘉男。これがぜんぜん売れてない踊りの家元、藤千代=八千草薫に岡惚れして、強盗やら殺人やらを重ねたあげくに、最後は八千草薫といっしょに劇場ごと吹っ飛んでしまうという話。

まあ、話としては、「電送人間」「液体人間」よりは見ていられる。しかし、ガス人間の悪行の理由が、八千草薫に金を貢ぐため、というのはどうも弱い。八千草薫は、年を取って落ち着いてからの作品しか見ていなかったので、若いときはこれほどの美女ということがわかったのは収穫といえば収穫だけど。

この八千草薫が何をするでもなく、ぼーっとしていると、勝手に土屋嘉男が金を貢ぎ、八千草薫は何も考えずに金を受け取って、疑いをかけられて留置場に入れられたあげくに、ガス人間の金で披露公演。そして、ガス人間の腕の中で、引火性のガスが充満した劇場でライターに点火して自爆。

ガス人間もなんとなく可哀想だし、意味もなく道連れにされてしまう爺やはもっと可哀想。美人は存在自体が罪、という話なのか?まあ微妙な出来の作品ではある。

音楽は宮内国郎で、曲はまるっきりウルトラQとかぶっている(当然本作の方が先)。ちょっと長いウルトラQという感じの怪奇譚。