TATOO<刺青>あり

「TATOO<刺青>あり」、宇崎竜童、関根恵子渡辺美佐子ほか出演、高橋伴明監督、国際放映、高橋プロ、ATG、1982

どうしようもない男の話。15歳で強盗殺人、その後キャバレーのボーイや取り立て屋になり、情婦の関根恵子には逃げられ、結局銀行強盗に入って射殺される主人公が宇崎竜童。見るからにどうしようもなさが満開。「青春の蹉跌」のほうとは違って、こっちはダメ人間がますますダメの奈落に墜ちていくというわかりやすいお話なので、ややこしいことはない。

宇崎竜童はダメ人間の権化のような人物。中途半端にヘタレな感じもよし。関根恵子はむちゃくちゃきれい。このとき27歳か。容貌は今とほとんど変わっていないところにも感心する。この映画で高橋伴明と結婚してからすっかり落ち着いた人になってしまったが、それまではキレてた人だったのだから、そういう意味でも高橋伴明はたいした人なのだろう。

映画は余計なことをいわずに、宇崎竜童と回りの人たちをそのままたどっていく。銀行強盗は本来ハイライトのはずだが、そこはさらっと流されていて、破滅までの過程がていねいになぞられる。特別主人公に思い入れは感じないが、すなおに見られる映画。