保守思想のための39章

西部邁『保守思想のための39章』、ちくま新書、2002

あいかわらずの西部節だが、中でもこれは力を入れて書いていると思う。最初の方の「情報の空虚」あたりはつまらなかったので途中で読むのをやめようかと思ったが、その後の部分がおもしろかったので結局読み通した。

中でもニーチェ保守主義の位置づけ、ルソーの一般意思論とジャコバニズムの関係、公共財の供給に対する標準的な説明に対する批判、ハイエクに対するコメント、法と道徳の関係についての議論、公私の軸に集団と個の軸を組み合わせた議論あたりはおもしろかった。

相変わらず保守主義というものに対しては、どうも愛着がわかないけれど(これもわたしが「大衆」だから?)、保守主義の古典はもうちょっと読んでみなければいけないという気にはなってきた。しかしチェスタトンとか、おもしろくなさそうだなあ。