演劇人祭・特別篇

「演劇人祭・特別篇」、NHKBSプレミアム、2014.11.30


NHKBSで、通常「プレミアムシアター」を放送している枠が、この週だけ特別にこの番組を放送していた。これは歌舞伎座で、10月20日に行われたイベントの録画放送。

イベントでは、中村梅玉鳳蘭ほか、植田紳爾 、永井多恵子、安孫子正の参加した座談会があったが、これは放送されず、他の部分だけ放送された。プログラムはこれ。

朗 読 劇  「瞼の母 -柳橋水熊 おはまの居間の場-」
  坂東玉三郎  市川中車

宝塚歌劇宝塚歌劇100・夢紡ぎ続けて」 構成 植田紳爾 演出 谷正純  作・編曲 吉田優子
宝塚歌劇団星組〕柚希礼音 
万里柚美 毬乃ゆい 紅ゆずる 如月蓮 天寿光希 
大輝真琴 夢妃杏瑠 毬愛まゆ 礼真琴 紫りら 
華鳥礼良 小桜ほのか  / ピアノ演奏 吉田優子

舞  踊 「花月」 振付 藤間勘十郎  
   梅若玄祥  藤間勘十郎  / 清元 清元菊輔社中  筝曲 川瀬露秋  囃子 藤舎千穂社中

地 唄 舞  「鉤簾の戸 (こすのと)」
坂東玉三郎 / 三絃・唄 富山清琴  胡弓 川瀬露秋


朗読劇「瞼の母」は、スーパーすばらしい出来。坂東玉三郎市川中車だから、当然といえば当然ですが。
名優というのは、ここまですごいのかと思わせる出来。度肝を抜かれたとはこのこと。

これは見ればうまいのがわかる。しかし、これ以外がどうもわからない。

宝塚は、星組の選抜メンバーが柚希礼音ほかで出てきて、宝塚の歴史に残る歌をメドレーで歌うもの。しかし、宝塚の歌が、歌としてそんなにありがたいものかといえば、大してありがたくない。宝塚ファンにとっては思い入れがあるのだろうが、知らない人が見ても「そんなにいいの?」と思うだけ。しかも、衣装は昔の宝塚ふうに、袴を着ていて、出演者は直立して歌を歌うだけ。これなら、専門の歌手の方がうまいわけだし、衣装やダンスのような宝塚の強みも見ることができない。

柚希礼音はもうすぐいなくなるのだから、どうしても見たかった人にとってはアリだろう。

舞踊「花月」は、これも梅若玄祥藤間勘十郎という大物がやっているのだから、分かる人にはすばらしさがわかるのだろう。しかし、自分は能をほとんど見ておらず、舞もよくわからない。どこを見ていいのか、よくわからない。

最後の地唄舞「鉤簾の戸」も、玉三郎が踊っているのだから、うまいはず。だが、これも舞の見方を知らない人には猫に小判で、どこをどう見ればいいのかわからない。歌舞伎の舞台を見るときも、舞の部分は退屈していたのだが、そんな人が見てもしかたがない。

型がきちんと決まっているものは、型の価値がわからない人には無意味というおはなし。特に舞踊は、姿がすべてなので、知らない人には手のつけようがない。