「ベルサイユのばら2001 フェルゼンとマリー・アントワネット編」

これまで宝塚歌劇団の公演を、実演で見たことはなく、このベルサイユのばらも、通して見たのは「オスカルとアンドレ編」だけ。こちらの「フェルゼンとマリーアントワネット編」は、全部見たことがなかったので、ついつい全部見てしまった。

ベルサイユのばら2001 フェルゼンとマリー・アントワネット編」
(主演:和央ようか 花總まり、’01年 宙組)、NHK BSプレミアム、2012.12.11


話は、オーストリアの宮廷から、マリーアントワネットがフランスに嫁入りするところから始まる。そんなペースでやって大丈夫なのかと思っていると、オスカルとアンドレは少ない扱いでしか出てこないので、話はさっさと進んで、あっという間にバスティーユ襲撃の場面。オスカルとアンドレがあっさり死んだ所で第一部が終わり。

第2部は国王一家がパリに連れて行かれるところから始まる。フェルゼンが母国から呼び出されたりして話が進むが、ヴァレンヌ逃亡事件はあっさり省略。本来ならここでフェルゼンはさようならになるところなので、この芝居の上ではなくてもいいことになっているらしい。最後は、コンシェルジュリーに幽閉されたマリーアントワネットのところに、フェルゼンがお忍びでてくるところ。マリーアントワネットを救おうと最後の努力を尽くすフェルゼンに、アントワネットは誇りをもって否を言うのでした。

途中までは、オスカルとアントワネット、フェルゼンがほぼ3人主役で話が進んでいくので、オスカルの役割がある意味あまっているような気がする。しかしその分、マリーアントワネットは、チャラいところがない、誇り高い女性として描かれているので、アントワネット主役というこの作品の趣旨には、十分かなった構成。そして、フェルゼン役の和央ようかと、マリーアントワネット役の花聰まりは、セリフのうまさでの存在感でも十分な物を持っていて、この2人の迫力でちゃんと芝居が成り立っている。それに比べるとオスカル役は若干女っぽすぎる印象。その方が主役にちゃんと光が当たって、いい芝居になっている。

セリフは、昔のベルばらの主要なセリフがちゃんとカバーされていて、古い舞台を観た人にも満足できる内容。NHK BS で取り上げている3回の公演の中で、芝居はこれだけ。あと2回は複数のレヴューを合わせたものなので、ベルばらが宝塚にとっての独参湯だということを改めて納得した。また、宝塚にあまり詳しくない人でも、原作の内容や歴史をある程度していれば、長丁場の舞台でもあまり退屈せずに見ていられる。思ったより楽しめてよかった。