ショスタコーヴィチ 交響曲第5番

ストラヴィンスキー「祝賀前奏曲
武満徹「弦楽のためのレクイエム」
湯浅譲二「交響組曲『秋風の芭蕉』」
ショスタコーヴィチ交響曲第5番
山下一史指揮、NHK交響楽団リーデンローズ大ホール、2009.7.12

リーデンローズ開館15周年の記念演奏会。湯浅譲二の曲はそのための委嘱作品、ということで初演である。開演前にサロンコンサートがあり、シューベルトハ長調の弦楽五重奏曲をやっていた。演奏会のプログラムは全部20世紀の作品ばっかりなので毛色は違うけど、まあサロンコンサートで不協和音がガンガン流れてもちょっとどうかと思うので、これはこれでよし。

で、開演前に指揮者の山下一史と湯浅譲二ご本人が舞台挨拶にでてこられた。山下は、リーデンローズの音響をかなり褒めていたが、まあご祝儀トークを半分としても、広島市にろくなホールがないので、リーデンローズがある分、福山がかなりいい目を見ていることはたしか。岡山には岡山コンサートホールがあるし、この10年か20年くらいにいろんなところに音響のいいホールができているのに、広島市はぜんぜんダメである。なんとかならないのか。湯浅譲二は、この作品以外にも俳句ネタで何曲か書いているそうな。ほとんど同年配の武満徹は鬼籍に入っているのに、こちらはまるっきりお元気そうである。

ストラヴィンスキーのこの曲ははじめて聴いた。あまり演奏されないらしいが、それも道理。ストラヴィンスキーがピエール・モントゥーのために書いたお誕生日プレゼントの曲である。1分もかからない。ちゃんと「ハッピーバースデートゥーユー」のメロディが入っている。

武満徹の曲は、これもはじめて聴いた。1957年初演だという。レクイエムといっても弦楽合奏曲で12分くらいの長さ。荘重というよりは、峻烈という感じの曲。しかし聞きづらくはない。

湯浅譲二の曲は、三楽章からなり、それぞれに芭蕉の俳句がついている。「塚もうごけ我泣こゑは秋の風」「石山の石より白し秋の風」「むざんやな甲の下のきりぎりす」。しかしわたしには俳句と曲そのものがどうつながっているのかはさっぱりわからない。曲自体は、打楽器の使い方がおもしろく、すっきりと聴けた。

ショスタコーヴィチは、名演。キレのあるインテンポの演奏で、ホール全体がガンガン鳴っていた。第4楽章の盛り上がりもよかったが、第1楽章がそれ以上によかった気がする。このおかげで、演奏会にいったかいがあったというもの。

このプログラムで、ホールはおよそ7分の入り。2階の安い席はだいたい埋まっているが、1階はけっこう空席が目立つ。ショスタコは別として、後の曲は全部現代ものだから、こんなものなのかなあ。ホールの館長は自身作曲もするせいか、現代ものをもっと聴いてほしくて仕方ないみたいだけど、地方で現代ものはなかなか厳しいのだ。